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探偵の知識

45歳独身、フェラーリを乗り回す遊び人探偵

2025年11月19日

図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美

1200万人もの人が住んでいる東京には、それこそ星の数ほど探偵がいる。そんななかで私がもっともユニークだと思う探偵さんは、Mさん。なにしろ、赤坂の一等地にオフィスを構え、アルマーニのスーツに身を包み、帽子はもちろんボルサリーノ。しかも黄色いフェラーリを乗り回しているのだから、まるでハリウッド映画に登場する探偵さんみたいだと思いません!?
派手なのはスタイルばかりではない。行動もとにかく派手。聞かれもしないのに「私、探偵をやっておりますMです。なにか困ったことがあったら、ぜひ連絡ください」ってなことを言いつつ名刺を配りまくる。だから、赤坂界隈ではこのMさんが環道であるっていうことを知らない人はいないくらい。実は、私がMさんと知り合ったきっかけも、彼が名刺をくれたから。もちろん、くれとも言っていないのに
…・・(笑)。
そうそう、言い忘れたが、Mさんはルックスもベリーグッド。あの松田優作似といえば、そのハンサムさが少しはわかっていただけるだろうか!?!松田優作に似ていて、被る帽子はボルサリーノ・・・・最近、若い子たちの間で人気になっている「探偵物語』のモデルは、もしかしたらMさんなんじゃないだろうか、と私は密かに思っている。
こんなに羽振りがいいというと、皆さんは”もしかしたらMさんって、悪徳探偵!?/と思うかもしれないが、実はその正反対。有能な部下が2人いることもあって、調査内容は完璧だし、料金も良心的。実は、Mさんがこんな派手にしているのには深いワケがあるのだ。
探偵歴30年(自称。たしか、本人は45歳と言っていたから、これだと15歳の時から探偵をやっていたということになる!しかし、この件については本人にもあまり突っ込まないようにしているので、謎のまま)というMさんの素顔は、とってもいい人。今まで、その「いい人”ぶりにつけ込まれて依頼人や女性にずいぶんと騙されてきたらしい。そして、いつしかMさんは人間嫌い&人間不に・・・..。人と接するのが仕事の探偵が、人間嫌いじゃ商売にならない。そこで、Mさんは自分の性格やスタイルに、本当の自分とまったく異なる仮面を被せて、他人を装うことで精神的に持ちこたえているのだ。もともといい人だから、お金に余裕がない人の依頼の場合など、無料奉仕をしてしまうこともしばしばあるという。しかし、いったん仮面を被って外へ出たら、もちろんそんなことはおくびにも出さない。赤坂のクラブでグラスを傾けながら、「あの仕事は500万円になりましたよ。はっはっはっ」ってな具合に女の子たちに自慢話をしているというわけ。
こんなに格好をつけて、しかも年中無料奉仕なんかしていたら、事務所は火の車になるに決まっている。有能な2人の部下の給料に事久くこともあるし、フェラーリのガソリン代に困ることもあるという。しかし、部下たちはMさんのことを崇拝しているから、給料が遅れようがタダ働きだろうが、一切文句を言わずについてきてくれるという。こんな部下がいるなんて、羨ましいと思いません!
仮面を脱いだMさんが、もっぱら一人で行むのは赤坂の某ファミリーレストラン。
本当は彼、お酒よりもケーキが好きなんだという。もし、赤坂のファミレスで一人
ケーキを食べている松田優作似の男性がいたら、おそらくそれはMさん。でも、できれば声をかけないでおいてほしい。そんな時、彼は"素”でいるのだから。